この仕事をするならこんな学問が必要だ<IT業界/基幹情報システムサービス>

あらゆるモノがインターネットにつながるM2M/IoT社会到来~IT業界を支えるデータサイエンティスト、システムエンジニアの必要な知識とは

阪田史郎先生 元NEC研究所所長/元千葉大学 工学部 情報画像工学科

第3回 システムエンジニア(SE)という仕事に必要な技術~OSを知っておくことが必要最低条件!

IT業界の技術職で100人中90人まで「私はSE」と答えるようです。それくらいSE=システムエンジニアは、IT業界の仕事の代名詞と言っても過言ではありません。では、システムエンジニア(SE)って何でしょう。実はかなりあいまいで答えにくいものです。

 

SEとは、一般的にはシステム開発業務を含めた技術営業職というふうに考えられています。大きく分けてSEが対応するシステムの構成要素に応じて、ハード、通信インフラ、基盤ソフト、業務を対象とした応用ソフト系SEの4つに分類できるかと思います。ほとんどの学部の出身者は理系の技術者ですが、応用システム系SEは文系出身者もいるようです。つまり応用システム系のSEとは、さほどITの深い専門知識がなくともマニュアル通りの技術営業で務まるレベルということで、業務SEという言い方もされています。それだけSEは裾野が広いということですね。

 

いずれにしてもIT業界は、SE一色です。でも、実はみなさんSEの本当の役割というものを誤解しています。一流のSEの条件とは何でしょう。技術営業としてシステムの提供先となる顧客への提案力が求められるだけでなく、そのシステムの開発自体に参画することがあり、相当高いスキルが必要です。開発においては、ソフトウェアを実現するプログラミング言語の理解、システムに要求される機能・性能を実現するためのプログラミングの能力は必須です。

 

SEで優秀な人は、顧客から“バイネーム”(名指しで)で覚えられています。それはこういう理由からです。新しく開発した商品に関して、何かトラブルが生じたとします。その時、発生した課題を解決する担当者はバイネームを呼ぶことによって、責任範囲をあいまいにしないためです。優秀なSEは、やがて大規模なシステムの全体設計に携わり、プロジェクトマネージャにまで出世します。その意味でSEは企業の“顔”なんです。

 

SEという仕事に必要な技術を教えましょう。まず基本ソフトの代名詞でもあるオペレーティングシステム(OS)は必要最低条件になります。OSとは、ソフトウェアの学問の中でも基礎中の基礎です。ソフトウェアは、大きく分けて下位から上位に、基本ソフト(オペレーティングシステム(OS)、組込みソフト)、ミドルウェア(並列分散、仮想化、クラウド基盤等)、応用ソフト(ネットアプリ、業務ソフト等)と3つに分かれますが、多くのソフトウェアが共通して利用する基本的な機能を持った、システム全体を制御・管理するソフトウェア。それがOSです。

 

OSには、ミドルウェアに求められる並列分散処理や仮想化、ネットワーク、データベースなどの技術の高度な知識や、応用ソフトの詳しい知識は必要ありません。しかし基本的なOSの知識が最低ないと、IT会社で開発はできないし、お客に説明もできません。これを大学でやっておくと強みになると思います。でも、OSは既に寡占化が進みサーバやパソコン、スマートフォンにブラックボックス的に組み込まれているからでしょうか、意外に大学でちゃんと学べないのが実情です。企業からすると「OSくらいせめてやっといてね」という感じなのですが。

 

さらに、SEが対象とする様々な情報システムは多くのコンピュータがインターネットをはじめとするネットワークで接続され、通信の仕組みや機能、プロトコル、伝送制御の方式の理解は重要です。IoTのIもインターネットの略で、M2M/IoTの中核となります。コンピュータにおけるOSと、ネットワークにおけるインターネットは、SEの必須知識の両輪と言えます。

 

運営:リベルタス・コンサルティング

 (協力:河合塾)

 

 

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