株式会社NTTデータ
技術開発本部 城塚音也さん
※所属・肩書は取材時のものです。
情報システム業界で、社会に必要不可欠なあらゆる「しくみ」を、ITを使って構築する情報サービス企業をシステムインテグレーター(SI)と言います。NTTグループのNTTデータは、システムインテグレーションの仕事をしています。NTTデータの技術開発本部の城塚音也さんに、システムインテグレーターの仕事を取り上げてもらい、これから必要とされる学問について伺いました。
おススメ本
『マッチ箱の脳(AI)―使える人工知能のお話』
NTTデータは、IT技術を駆使して、「もの」でなく「しくみ(システム)」を作る会社です。
誰もがよく知っているNTTデータが提供する具体的な社会のしくみ(システム)の例を挙げてみましょう。例えば、銀行間の内国為替取引をオンライン・リアルタイムで中継し、取引に伴う資金決済を行うための銀行間のネットワークシステム「全国銀行データ通信システム」があります。このしくみがあることで、口座を持つ銀行とは違う銀行やコンビニでお金を下ろすことができます。
また、日本最大のカード決済総合サービス、CAFISシステムは、全国の加盟店(店舗・企業)とクレジットカード会社や金融機関をネットワークで結びます。そして各種カードでの取引や決済を迅速かつ確実に処理しています。
世界的な話題になったものとしては、ヴァチカン図書館のデジタル・アーカイブ事業というものがあります。ヴァチカン図書館の所蔵する人類の貴重な資産や文献をデジタル化し、長期保存およびWebでの閲覧を可能にする取り組みにNTTデータは参画しています。本事業は人類の文化の保存に大きな貢献をしたと言えます。
◆大学での研究・学んだことは、今の業務にどうつながっていますか。
大学で専攻した言語学の知識は、日本語の音声言語処理に関する研究開発業務のなかで、生かすことができました。(ただし、計算機や統計処理に関する知識が乏しく習得に苦労しました。)研究開発業務に入ったきっかけは、その当時のパソコンの普及とAI(人工知能)のブームです。「コンピュータで今までにない何かすごいことができるはず」という期待感から今の業務に入りました。
◆高校時代は、どのように学んでいましたか。何に熱中していましたか。
好きな科目(世界史、古典等)は授業とは関係なく、先行して学習を終わらせてしまい、授業中は関係する本を読んだりしていました(いけないことですね)。図書委員会と美術部に所属して、読書と絵を描くことに熱中していました。高校時代ではありませんが、浪人時代に初めて買ったパソコンで自分のプログラムが動いた時のことは、鮮やかに記憶に残っています。
◆高校時代の学びで今に生かされていることがあれば教えてください。
高校時代に学んだ数学(初歩の統計や三角関数等)も業務に役立っています。
◆高校生が、授業や課外活動等で、この業界に関連した技術、知識(学問)関する課題研究や学習をするとして、どんなテーマ・課題が考えられますか。
・どのようにしてコンビニのATMから銀行カードでお金が引き出せるのか
・インターネットの検索サービスはどのようにして入力キーワードを含むサイトを一瞬で探せるのか
・コンピュータはどのように将棋の手を考えられるのか
マッチ箱の脳(AI)―使える人工知能のお話
森川幸人(新紀元社)
かつて一世を風靡したAI(人工知能)が再び脚光を浴びている。近年、AIを備えたコンピュータが人間のクイズ王やプロ棋士に勝つようになり、あと10年もすれば、人間の仕事の半分はコンピュータに置き換わると予測する声もある。本書は、そんなAIの仕組みと、その活用方法をデザイナー・クリエーターである筆者が非常にわかりやすく説明しています。やや古い本なので、読んでみて、AIについてもっと詳しく知りたくなったら、最近のAIの動向は別の本を探してみると良いでしょう。
2016/11/21公開