株式会社安藤・間
首都圏建築支店 建築部 工事第一部 太田原作業所
所長 片本新司さん
※所属・肩書は取材時のものです。
施工管理の仕事で最も感動するのは、建物の足場がはずれて、完成した建物が現れるときです。そしてすぐに次の現場に行くのですが、どの現場・建物も1つとして同じものがないのも、この仕事の面白いところです。デザイン、構造、用途、現場の気候など全て異なるものを、これまでの経験を活かして、その時のメンバーと一緒に常に向上心を持って取り組みます。
現場での提案も形に
例えば用途では、病院には、車いすや足の不自由な方が通りやすいように、スロープをつけたり廊下の手すりがつながっていたりします。これらは最初の設計図通りに作るだけでなく、施工しながら「こうしたほうがいい」と気づいた点を施主に提案し、関連する部署とも相談して、現場で施工図に落としていきます。小学校建築では、子どもの安全に配慮した設計をしますが、現場でも、子どもの頭がはまって抜けなくなってしまう10cmから14cmの隙間がないか、くまなく図面をチェックするなど、改めて安全を確認しました。このような細やかな心遣いの積み重ねで、安全で使いやすい建物が出来上がります。
また、現場では毎週定例会があり、進捗状況や問題点を確認したり、現場で気づいたことや発注者の要望で、変更するものもあります。特に仕上げに近い段階では、壁紙や床材など新たに決める要素が多くなります。
施工方法についても、「この工法で行えば効率が上がる」など、常に改善しています。施工途中の状態が不安定で危険が生じないように、本社の技術部に一緒に検討してもらい、安全が確認された上で導入し、よい工法は社内で共有します。
また、現場の仕事も、IT化が進んでいます。例えばBIM(Building Information Modeling)といって、ITシステムによって建築に関する様々な情報を加えた3次元のモデルを利用しています。BIMでできることの一例としては、免震建物が地震を受けた際に、その建物の免震層のデータをもとに、ぶらさがっている配管と建物本体がどう揺れるかを事前に検証して、配管が建物本体にぶつかって損傷することがないように調整し、安全を確保しています。
大学では自分の分野を究めて
最後に高校生の皆さんにお伝えしたいのは、大学では1年生から3年生で建築という幅広い分野を学んだ後4年生で研究室に入りますが、まずはその分野を究めてほしいということです。自分の得意分野を何か1つ持っていると、施工管理の仕事に就いても、それが役立つ場面に必ずぶつかります。
建築系の学部に進む人は、建物が好きだと思います。是非施工管理の仕事に就くことも視野に入れ、大学でよい学びをしてください。
つづく
第5回 女性も増え、IT化も進む建築現場。建築関係に加え、電気系、機械系人材も活躍 <人事部談>
<前回を読む>
第3回 幅広い建築工学の知識を基礎に。施工図の製図、安全など入社後に学ぶ知識・技能も多数