株式会社安藤・間
首都圏建築支店 建築部 工事第一部 太田原作業所
所長 片本新司さん
※所属・肩書は取材時のものです。
ターミナル駅周辺の再開発地などに次々と建つ大きなビル。高校生の皆さんにとって、建築というと建築デザイン(意匠設計)のイメージが強いのではないでしょうか。しかし建築の世界の仕事は幅広く、大きな建築物や土木構造物を造るゼネコン(総合建設業)の施工管理は、建設業界を代表する仕事の1つです。そして大学の建築・土木関係の学部・学科の卒業生の多くがこの仕事に就いています。
そこでゼネコンの1つ、株式会社安藤・間(呼称:安藤ハザマ)で、建築現場の所長として施工管理の仕事に携わる片本新司さんに、施工管理の仕事とその魅力、大学の建築関係の学部学科での学びと仕事の関係について伺いました。
おススメ本は、『イラスト「建築施工」』
施工のことがイラストを用いてわかりやすく紹介されています。
安藤ハザマは、ゼネコン、すなわち総合建設業を営む会社です。ゼネコンというのは、土木工事や建築工事を発注者から請負い、様々な要素からなる工事のとりまとめを行う会社です。
土木は道路や橋、トンネルなどを造る事業で、建築はオフィスビル、病院や学校、マンションなどを造る事業です。建築であれば、基礎造り、鉄筋を組む、鉄筋の周りに型枠を組んでコンクリートを流し込む(打設)、電気や給排水などの設備を設置する、内装など様々な工程があり、工程ごとに専門の業者があって、施工を担当します。規模が大きくなればなるほどかかわる業者や作業員が多くなります。こうした業者をまとめ上げて、土木構造物や建築物を造り上げるのがゼネコンの仕事です。
多くの部門がある建築事業の仕事
建築事業は、主に営業、設計、積算、工事(施工)、工務、技術などの部門に分かれます。
「営業部門」は、建物の発注者から提示されたプロジェクトの概要、必要な要素や発注者からの要望を的確に把握して、「設計」「積算」「工事」など他部門と連携して、建築案を提案、見積を作成し、契約手続きを行います。競合他社とのコンペになることもありますし、新規顧客の開拓も行います。
「設計部門」は、建物のプランやデザインを考える「意匠設計」のほか、地震や風など外からの力に対して、建物の安全性や性能を担保するために、建物の骨組みを設計する「構造設計」や、建物の電気・空調・衛生設備の設計をする「設備設計」もあります。意匠設計や構造設計は、ゼネコンが行うこともあれば、設計を専門とする会社や建築家が行うこともあります。
「技術部門」は、建物を造る際の材料や工法などについて技術的な支援をします。
工事部門は、現場の施工管理
そして私が担当する「工事部門」は、建物を建てる場所に勤務して、建設現場の施工管理を行います。現場に配属されると、通常は更地の、電気や水道が通っていないゼロの状態から工程ごとに専門の業者を手配します。
建設現場は、それぞれ予算も決まっており、現地に小さな会社ができるようなものです。建物の規模や用途などによって、3人、5人、10人など必要な人数が配属されて、所長の下、いわばプロジェクトチームが結成されます。また、本社や支店の他部門の協力を得ながら、1つの建物を建てていきます。
そして建物を引き渡した後もアフターケアといって、定期的に建物を点検して、必要に応じてメンテナンスを行います。