パイオニア株式会社
人事企画部人財企画課 佐藤優里さん 永田雅子さん
パイオニアは日本のカーナビのシェア第一位で、70億㎞以上の走行データを持っています。そこで現在、走行データのビッグデータ解析をして、その情報を使ったカーナビビジネスを展開しようとしています。
例えば、走行データを解析すると、多くの人が急ブレーキを踏む場所がわかります。そこで最近、急ブレーキを踏みがちな危ない場所に来ると、注意を促してくれる機能を搭載したカーナビを発売しました。
また、東日本大震災が起こった時には、道路が分断されて車で被災地に行くことができなくなりました。しかし、何とかしてたどりついた車の走行履歴をパイオニアが広く開示したことで、被災地に無事支援物資を届けることができたという実績もあります。
こうしたシステムの開発には、組み込みソフトウェアだけでなく、データ解析、クラウド基盤、ビックデータ分析、通信ネットワーク、ネットワークアプリなど、幅広い技術が関わっています。言葉で行き先を告げるとカーナビがナビゲーションしてくれる機能には、音声処理の技術が必要ですね。
また、当社では、ドライブレコーダーも開発していますが、人の顔やナンバープレートを撮影して保存するとプライバシーの侵害になりますので、画像処理技術を使い、自動で顔やナンバーをぼかして記録しています。また、当社のカーナビは、信号機は信号機、対向車は対向車と認識することができ、これも画像処理の技術です。
自動運転については、自動車の周囲をセンシングするセンサーシステムを独自開発しており、これには光学技術が使われています。
機械系や電気・電子系も含め、モノづくり人材を採用
出身学部学科で情報系に次いで多いのが、機械系と電気・電子系です。というのも、どの製品も、デバイス開発には、機械系では、機械工学、ロボット・メカニクスなどの知識、電気・電子系では、電気機器、アナログ回路、デジタル回路、電子デバイス、計測・制御、システム工学などに関連する知識全般が必要です。したがって、特にどの分野出身がよいということはなく、モノ作りができる人材を幅広く採用しています。
また、学部卒と大学院卒では、新入社員に期待されるところが異なります。学部卒の場合は、大学で学ぶその分野の基礎全般をしっかり身につけておくことが必要です。例えば、機械系卒であれば設計図を書いたり、読んだりする技術は最低限必要です。
大学院卒であれば、基礎はもちろん、何かの課題に対して、自分で何を調べればよいか考え、実験計画を立てて実験し、試行錯誤しながら解決するという課題解決能力がついていることが期待されます。
おわり
図解でウンチク カーナビの謎を解く
青砥浩史(C&R研究所)
カーナビは人工衛星を使って位置を割り出している。では、トンネルの中など電波の届かない場所での位置把握はどうやっているのか。また、渋滞情報はどうやって調べているのか。カーナビを取り巻く技術を、イラストと文章でわかりやすく解説する。
位置情報ビッグデータ
神武直彦、関治之、中島円、古橋大地、片岡義明(インプレスR&D)
人やモノの位置に関するデータを大量に集め解析できるようになった。本書ではこれを「位置情報ビッグデータ」と名付ける。ここには、新サービス創出の可能性が大いにあるという。位置情報サービスの要素技術から、注目のウェアラブルデバイスや未来型サービスの事例などを紹介する。
IoTで激変するクルマの未来
桃田健史(洋泉社)
アップルやグーグルなどが注目する「コネクテッドカー」。ICT端末としての機能を有する自動車のことだ。IoTセンサーから取得した車や道路状況などのビッグデータから、新たな価値を生み出すことが期待されている。クルマのIoT化がわかる。